明石大久保ゆりのき通/神明クリニック
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神戸新聞・折込の、地域の広報にあります「とことん、おおくぼ Okubo.com」の「ドクター西原のいきいき生活通信」で掲載された内容です。ぜひ皆様の生活にお役立てください。

脳梗塞の治療について

“ピンピンコロリ”が皆さんの理想だとすれば、脳梗塞は最も罹りたくない病気のひとつでしょう。後遺症を残して介護が必要になることが多く、寝たきりの原因の約30%が脳梗塞によるものです。

もう十数年以上前になりますが、私が病院勤めの頃には有効な治療法がなく、治療の目標は専らそれ以上ひどくならないようにすることで、即ちいったん脳動脈が詰まってしまうとどうしようもありませんでした。
しかし、2005年に「血栓溶解療法」が認められてからは、脳梗塞発症後4.5時間以内なら血栓を溶かす薬を点滴することで、血管が再開通して症状が改善する例が約1/3で認められるようになりました。

しかしこの治療法は症状が重症の患者さんでは効果が少なく、また副作用(出血)のため薬が使えないこともあり、そして何よりも4.5時間以内に病院で治療を受けられるケースが非常に少なく、特に地域格差が大きいこともあって、結局血栓溶解療法の実施率は脳梗塞全体の約5%程度となっていました。
ですから1/3に効果があっても、治療が奏効した患者さんの数は実際それほど多くありません。

しかし最近、血栓溶解療法でも上手くいかない場合や副作用のため薬が使えない場合、そして発症から4.5時間を経過している場合にカテーテルを用いた脳血管内治療(血栓回収療法)が行われるようになってきました。
この治療は発症から8時間以内であれば適応があり、先端がらせん状になったワイヤーで血栓をからめ取ったり、あるいは吸引ポンプを使って血栓を砕きながら回収したりすることで、いずれも高い再開通率を達成しています。また「血栓溶解療法単独」と「血栓溶解療法+血栓回収療法」を比較した試験もいくつか発表されており、血栓回収療法を行った方が回復は良好で、自立した生活が送れる割合が有意に高いという結果でした。

したがって現在、急性期脳梗塞患者さんに対する治療法は「血栓溶解療法+血栓回収療法」が標準的な治療法として確立されつつあるのですが、血栓回収療法は熟練した専門医でなければ行うことができないため、24時間体制でこの治療を施行できる病院が少ないというのが現状の問題としてあります。

これから専門医の数がどんどん増えて、器具なども更に改良され、そして脳梗塞の後遺症で苦しむ人がもっともっと少なくなることを期待しております。

いきいき生活通信 2017年 9月号

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神経調節性失神について

あれは中学二年生の夏、部活の練習中に立ったまま監督の話を聞いていたときです。
今でもよく覚えているのですが、段々と冷や汗がでてきて、監督の声が遠のく感じになり、そして目の前が真っ暗になった次の瞬間、顔をグランドに打ちつけて倒れちゃいました。一瞬、もう野球が出来なくなるんじゃないかと思いましたが、帰るころにはすっかり元気になっていました。

この失神は典型的な血管迷走神経性失神と言われるもので、長時間の起立が原因です。すなわち、立位→下肢静脈に血液がうっ滞→心臓へ戻る血液が減少→心拍出量減少→血圧低下が起こります。このままではまずいので、通常はすぐに交感神経(脈拍↑血圧↑)の亢進と副交感神経(脈拍↓血圧↓)の抑制が生じ、血圧が正常に保たれるようになります。

しかし時には立位の継続により心臓へのこの血圧低下刺激が続くことで、逆に交感神経の抑制と副交感神経の亢進が生じることがあります。そうすると脈拍が減少して血圧が低下し、失神が起こります。迷走神経は心臓を支配している副交感系の神経であり、このように心臓への刺激によって迷走神経が亢進して起こる失神が血管迷走神経性失神です。朝礼のときにみられる失神のほとんどがこのタイプです。そして心臓以外への刺激によっても迷走神経は亢進することがあります。

例えば、排尿後(膀胱への刺激)や排便後(腸管への刺激)、あるいはひどく咳き込んだ際(気道への刺激)にも迷走神経が亢進し、失神することがあります。これらはある特定の状況または日常動作で誘発される失神で、状況失神と言われています。また頚動脈の刺激によっても迷走神経は亢進します。特に中高年の男性に多くみられ、ネクタイ締め、着替え、荷物の上げ下ろしなど頚部の圧迫や刺激で誘発されるめまいやふらつき、失神は頚動脈洞症候群と言って、加齢に伴う動脈硬化との関連が指摘されています。
これら血管迷走神経性失神、状況失神、頚動脈洞症候群はいずれも刺激される部位は異なりますが、最終的に迷走神経が亢進して起こる失神であり、神経調節性失神と呼ばれています。

私は中学2年生の夏以降は一度も失神したことはないのですが、実は失神しそうになったことは何度かありまして、満員電車の中で立ち続けていたときや排便の後などに意識が遠くなりそうな感覚を何度か経験しました。大事なことは前兆を感じたらすぐに座るか横になること、そして神経調節性失神は誰でも起こるということを自覚することです。

いきいき生活通信 2017年 8月号

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ハチ刺傷について

「以前、ハチに刺されたことがあるのですが、大丈夫かどうか血液検査で調べられますか?」と先日患者さんから尋ねられました。
急場を凌ぐ知識がなく、「次回までに調べておきます」と宿題にして頂き、少し調べてみたので今回は“ハチ刺傷について”お話してみます。

「スズメバチに2回刺されるとアナフィラキシーショックで死ぬかもしれない」というのは皆さんも聞いたことがあるでしょう。アナフィラキシーショックというのは、皮膚症状(蕁麻疹)や粘膜症状(唇が腫れる)だけでなく、呼吸器症状(呼吸困難)や循環不全症状(血圧低下)もみられる恐ろしい全身性のアレルギーです。
薬や食べ物などが主な原因ですが、死亡原因で最も多いのがハチ刺傷によるアナフィラキシーなのです。毎年20~40人ほどが亡くなられていて、その大半がスズメバチとアシナガバチの刺傷によります。
7月には巣が出来ますので、7~10月は攻撃性が高く、被害が多いそうで、これからの季節は要注意です。

そしてハチ毒にはいろんな物質が含まれていて、特にハチの持つ酵素類が私たちの体に入ると、その酵素に対して私たちは特異的に反応する抗体(特異的IgE抗体)を作ります。その特異的IgE抗体が体の中にたくさんあると、再びハチに刺された時にハチ毒と強く反応することで、アナフィラキシー反応が起こります。
典型的な場合は刺傷後、数分~10分で症状が出現し、30分以内にショックに至り死亡することがあります。病院に搬送する時間もないくらいです。

またハチ刺傷歴がある方で、再度刺された場合にアナフィラキシーショックを呈する可能性は3~12%だそうで、結構確率が高いのです。私も子供の頃にアシナガバチに刺されたことがあるので少し心配ではあるのですが、ではアナフィラキシーを起こしやすい条件はというと

  • ① ハチ毒特異的IgE抗体が高値の場合
  • ② 初回刺傷時に広範囲にひどい腫れが続いた場合
  • ③ 短期間に繰り返し刺された場合
  • ④ 一度に多数のハチに刺された場合

などが挙げられます。
ただし、重症のアナフィラキシー反応の30%で特異的IgE抗体は陰性なので、ハチ刺傷によるアナフィラキシー反応を確実に予測することは難しいのですが、実際的には上記①②に該当する方やハチに刺される可能性が高い方は治療薬であるエピペンの携帯が推奨されますので、一度病院で相談してみて下さい。

そういえば昨年、自宅の隣の木にスズメバチの巣があったのだけど、大丈夫かな・・・

いきいき生活通信 2017年 7月号

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軽度認知障害(MCI)について

近頃、毎日ワクワクして過ごしています。阪神タイガースがあまりにも調子が良いので、ついつい期待してしまいます。阪神が負けたときはできるだけ気にしないようにして、勝ったときは優勝でもしたかのように喜んでいる自分のことが少々滑稽に思うのですが、どうしようもないんです。
できれば秋ぐらいまで楽しませて欲しいなと願っています。

さて、今回は最近注目されている軽度認知障害(MCI)についてのお話です。
MCIとは正常と認知症のちょうど中間にあたる状態のことです。MCIの状態では同じことを何度も繰り返して言ったり、物忘れが目立ってきたりして、認知症と同じような症状がみられるのですが、認知症の検査をすると異常がなく、会話も普通にできて日常生活に支障がみられません。

正直、私にも当てはまりそうで怖いのですが、MCIが注目されているのは認知症に進行する可能性が高いためです。MCIを放置すると5年間で50%の人が認知症へと進行し、そして現在MCIの人は800万人を超えていると言われています。認知症は進行性の疾患で、良くなることは難しいので、MCIの状態で何とか手を打てれば良いのですが、まだ研究途上といったところです。

では、加齢による物忘れとMCIはどう違うのでしょうか。ここが重要ですね。
厳密に区別することは難しいのですが、おおまかな違いを挙げるとすれば「名前がでてこない」「考え事をしていて用事を忘れてしまった」「今朝歯磨きをしたか思い出せない」などは加齢による物忘れと考えられますが、MCIではこれらの物忘れが繰り返しみられるようになり、ヒントを与えても思い出せません。
また体験したエピソードを丸ごと忘れてしまうようになり、例えば食事のメニューだけでなく、食事に出かけたことも全て思い出せないとか、孫の結婚式に出席したことも忘れてしまうなど、そして物忘れが次第に悪化していき、周囲がその物忘れに対して違和感を感じるようになってきます。
こうなると正に認知症の予備軍で、何とかしないといけません。

確実な方法はないのですが、ただ、少々刺激がある生活のほうが良いでしょう。
だから私は生涯阪神タイガースを応援することにしています。

いきいき生活通信 2017年 6月号

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大腸憩室炎について

中学生の頃、ある晴れた休日の午後に1人で見たアニメが忘れられなくて、どうしてもそのアニメの事が知りたくて、もう何年も前ですが、ネットで調べてその原作の本を購入しました。『ぽっぺん先生と帰らずの沼』という本で児童書なのですが、最近、のどかな世界に浸りたくて、毎日少しずつ読み返しています。
もう少し世の中が安定して欲しいですね。

さて、今回は外来でときどきみられる大腸憩室炎についてです。大腸ポリープは皆さんよく耳にしたことがあると思いますが、大腸憩室はあまり馴染みがないかもしれませんね。
憩室はポリープとは逆で“くぼみ”のようにへこんだ状態なのですが、どうしてそんなものが出来るのかと言うと、近年、食生活の欧米化に伴い、便秘が起こりやすくなっていて、そのために腸管の内圧が上昇し、腸管内の弱い部分が内から外へ押されてしまって袋状に飛び出してしまうからです。
また加齢によって腸管壁が弱くなることも原因のひとつで、年齢とともに増加し、70歳以上では50%以上に憩室がみられるとの報告もあるぐらいです。

ただ憩室があるだけでは特に問題ありません。そのくぼみに便が溜まると憩室内の圧が高まり、血行が悪くなったり、細菌が増殖しやすくなることで炎症が起こります。憩室の好発部位は上行結腸(右腹部)およびS状結腸(左下腹部)なので、初めはそのあたりが周期的に痛んだりするだけですが、進行すると持続的に強く痛みだし、熱がでたり、下血がみられたりします。
さらにひどくなると穿孔したりして腹膜炎に移行することもあります。右下腹部に起こる虫垂炎と病態も症状も非常によく似ている疾患です。

診断は症状からある程度推定できますが、CT検査が特に有効です。
治療は軽症であれば食事療法および抗生剤の服用で良くなりますが、症状が強い場合は入院して、数日間の絶食および点滴治療が必要です。また腹膜炎などに進行すれば当然、緊急手術になることもあります。

そして憩室炎を繰り返すことも少なくなく、何度も繰り返すとその部位で腸管が狭窄したり癒着したりして便通障害を引き起こしたり、また時にひどく出血して内視鏡による止血術が必要になることもあります。

ひどい憩室炎や憩室出血を来たさないためには、普段から繊維分の多い食事を心がけて便秘にならないように注意して下さい。

いきいき生活通信 2017年 5月号

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アルコールと遺伝子の関係について

ここ数年、毎年この時期に明石公園でお花見をしているのですが、満開に咲き誇っている“ソメイヨシノ”は理屈抜きで本当に素晴らしいですね。
そしてその桜に囲まれての宴はこれまた素晴らしく、ついつい飲みすぎてしまうのですが、最近、飲みすぎると記憶を失くしてしまうことが多くて、更に二日酔いもひどくて、おまけにメタボを行ったり来たりで良いことなんか何もないのですが、それでも飲んでしまいます。そんなに強くないんですけどね。
若い頃はたくさん飲めるのが「豪快で男らしい」と思ったこともありましたが、今はそういう風には全く思ってなくて、なぜなら“飲める飲めない”は生まれたときから遺伝子によってほぼ決まっているからです。

アルコールが体内に入ると消化管で吸収されて脳へ運ばれ、脳細胞を麻痺させて酔った状態になります。これがちょっと気持ち良くて、幸せな気分になってしまうのですが、アルコールはやがて肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに分解されます。
そしてこのADHの酵素活性には個人差があって、活性が弱いとアルコールが長く残る、即ちほろ酔い気分が長く続くためついつい飲みすぎてしまう訳です。

一方、アセトアルデヒドは毒性があり頭痛や吐き気、発汗などの症状を引き起こします。これが急性アルコール中毒や二日酔いの原因になるのですが、アセトアルデヒドもやがてアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸に分解されます。
そしてこのALDHの酵素活性もADHと同様個人差があって、活性が弱いとアセトアルデヒドが長く残る、即ちお酒が弱いあるいは飲めないタイプという訳です。お酒を飲むのが好きで、しかし二日酔いになりやすい私はADHもALDHも活性が少し弱いのかなと勝手に思い込んでいるのですが、調子に乗って飲みすぎていることも事実なんですけどね。

また大酒家やアルコール依存症のリスクのある方はどうなっているのかと言いますと、遺伝子的にはADH活性が弱くてALDH活性が強いタイプ、即ちアルコールは体内に長く残りやすく、アセトアルデヒドはすぐに分解されてしまうタイプです。

さて、このアルコール代謝に関する遺伝子検査は既に商業ベースで販売されており、実は簡単に自分の遺伝子タイプを調べることができるようになっているのです。本音を言うと知りたいのですが、何でもかんでも分かってしまうのはちょっと怖いですね。

いきいき生活通信 2017年 4月号

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フレイルについて

ジムに通い始めて3年半が過ぎました。一生懸命すると続かないので、やる気に任せて出来るだけ自然にやっていこうとしているのですが、こんな甘いことを言っていてはだめですね。とうとう2月はジムに数回しか行けませんでした。いやいや、行けないのではなく、行かなかったんですけどね。まぁ、2月は寒かったので、仕方がなかったということにしています。

さて2025年(あと8年)には75歳以上の後期高齢高齢者が2000万人を超えるそうです。およそ5人に1人は後期高齢者ということになります。元気な高齢者が増えているのはすごく実感しているのですが、それでも健康寿命は男性で約9年、女性で約13年実際の寿命よりも短く、即ち死を迎える前の約10年間は介護が必要な状態であるということです。そしてその原因として注目されているのが、今回お話する“フレイル(老衰)”です。

フレイルという言葉はまだ皆さんに馴染みがないかもしれませんね。フレイルとは「加齢によって様々な心身の機能低下がみられ、生活機能が障害されやすい状態」と解されています。すなわち①体重減少②疲れやすい③歩行速度の低下④握力の低下⑤活動性の低下など、これらの症状がみられてくるとフレイルと判断され、そしてフレイルの状態にあると、ちょっとしたことで更に心身の状態は悪くなりやすく、入院が必要になったり、寝たきりになったりしやすいということです。多くの方はこのフレイルを経て、要介護状態へ進むと考えられています。

皆さん、きっと病院等の外来で「もう高齢だから仕方ありません。その症状と上手く付き合って下さい」って言われたことがあるでしょう。私、外来でよく言っています。加齢によって身体機能が低下してくるのは実際仕方がないことだと思うのですが、実はこのフレイルにはちょっと違ったニュアンスが含まれています。先ほどから何度も“仕方がない”という言葉を使っていますが、病気の管理や食事、運動あるいは認知機能低下などに積極的に介入することにより、フレイルを予防できたり、またその状態から要介護状態にならずに、健康寿命を延ばすことができるという意味が含まれているのです。

ですから、これから迎える未曾有の超・超高齢者社会において私たち医療従事者や高齢者の家族の方がフレイルの概念をよく理解することは非常に重要だと思いました。そんな訳で今回はフレイルについてのお話でした。

いきいき生活通信 2017年 3月号

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ピロリ菌と胃癌について

この冬、話題の映画を二本観ました。「君の名は」と「この世界の片隅に」でどちらもアニメ映画です。「君の名は」は映像に迫力があって、とにかく気持ち良かったです。そして「この世界の片隅に」は声優ののんちゃん(能年玲奈さん:兵庫県出身)が独特の雰囲気を作り出していて、こちらも良かったです。
さぁ、もう2月ですね。この月が終われば冬の寒さもそしてインフルエンザも一段落です。皆さん、ぼちぼち頑張っていきましょう。

さて、今回はピロリ菌と胃癌についてお話してみます。
明石市で胃癌リスク検診(ABCD検診)が行われるようになってから、外来でもよくピロリ菌と胃がんの関連について説明する機会があります。

ピロリ菌について簡単に説明すると、

① 感染原因はまだまだ不確かですが、免疫機能が十分に発達していない幼児期に感染することがほとんどで、口から感染することは間違いなく、親から子供への口移しや上下水道の不完備などが考えられています。

② ピロリ菌は一度感染すると大抵の場合、胃の中に棲みついて炎症を引き起こし、その結果、萎縮性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などを発症し、その一部が胃癌へと進行します。

③ 日本人の感染率は高くて、また年代によって差が大きく、60代以上の人では約60~70%で、40~50代の人は約70~80%、30代で50%前後、30代以下では約20~40%程度となっています。

では肝心の胃癌との関連についてですが、ある国内の研究によるとピロリ菌陰性のグループ(280人)と陽性のグループ(1246人)を10年間追跡調査したところ、陰性群では0%に対して陽性群では2.9%に胃癌が認められました。また、ABCD検診では萎縮性胃炎の程度などによってピロリ菌感染群をB、C、D群に分けていますが、各群における胃癌発生率はB群で1/1000人、C群で1/400人、D群で1/80人程度と考えられています。
一見少ないように思えるかもしれませんが、一生涯で計算するとピロリ菌感染者の10人に1人は胃癌発生の危険性があるということになります。

このようにピロリ菌と胃癌は密接な関係があると思われ、実際にピロリ菌を除菌すると約30%程度胃癌の発生を抑制できたという報告もあります。
そんな訳で、私もそろそろABCD検診を受けてみようと思っている次第です。

いきいき生活通信 2017年 2月号

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咳喘息について

新年明けましておめでとうございます。
月日が経つのは本当に早いもので、このコラムも今回が120回目で、ちょうど丸10年になります。文才がないので、小細工なしにできるだけストレートに思っていることを書いてきただけなのですが、ときどき患者さんから「読みましたよ」と言われるとついつい調子に乗ってしまって、ここまで続けてこられたのかなと思います。
そんな訳ですが、これからも続けていく所存ですので、どうぞよろしくお願い致します。

さて、今回は外来で非常によくみられる咳喘息についてです。「咳が止まらない」と言って外来を受診される患者さんは結構多くて、原因はいろいろと考えられるのですが、中でも咳喘息と思われるケースが最近は特に増えているように思います。
咳喘息って一体どんな病気なのでしょうか?

簡単に説明しますと、気管支喘息の亜型と考えられていて、気道が非常に過敏になっているために乾いた咳が長く続き、夜間や早朝に悪化するといった特徴があります。
ただ私は正直、今でも十分理解できているとは言えず、従って自分の中でしっくりくることもなく、結局のところなんとなく治療をしているというのが実情であり、誠に頼りなくて申し訳ないのですが、それでも最近増えているなと実感しています。

気管支喘息なら「ヒューヒュー」や「ゼェーゼェー」という音が聞こえて、呼吸も苦しそうだったりしますので診断は比較的容易なのですが、咳喘息はそのような喘鳴や呼吸困難はみられません。ではどうして診断をするのかというと、咳喘息にも一応診断基準というものがあり、そのうちのひとつが“気管支拡張薬が有効である”という条件なので、私は専ら咳喘息かなと思ったら、気管支拡張薬を使うのです。そしてそれが効けば咳喘息なのだろうなということにしております。

この咳喘息はとにかく気道が過敏になっていて、風邪や運動、タバコの煙、雨天、花粉、黄砂などによって出現したり増悪したりします。当の本人は結構つらいようで、咳き込んで眠れないことがあるとだいたい翌日に受診されます。
治療は気管支拡張薬や吸入ステロイド薬が中心で、大多数のケースはそれで良くなるのですが、減量・中止にて増悪することもあり、治療が長期化する例もあります。また経過中に30~40%の方が気管支喘息に移行すると言われており、早期の吸入ステロイド使用がその進展を防ぐのに有効とされています。
咳が長く続いてお困りの方は咳喘息も疑ってみて下さい。

いきいき生活通信 2017年 1月号

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