神明クリニック

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コラム(2025年)

神戸新聞・折込の、地域の広報にあります「とことん、おおくぼ Okubo.com」の「ドクター西原のいきいき生活通信」で掲載された内容です。ぜひ皆様の生活にお役立てください。

1月号 運動療法について

運動療法について

 今年は西暦2025年。「団塊の世代」の全ての方々が後期高齢者になる未曾有の超高齢化社会(5人に1人が後期高齢者)の幕開けです。

 75歳の自分はどんな感じなのか想像できませんが、少なくとも元気でいたいし、できれば仕事もしていたいです。だから私の今年の目標は「もっと歩いて、もっと泳ごう」です。

 身体活動量を増やすことは、循環器病、2型糖尿病、がんの予防に効果があり、また抑うつを軽減して、思考力や幸福感を高められるとされています。一方、身体活動・運動の不足は感染症を除くと喫煙、高血圧に次いで、死亡に対する3番目の危険因子です。

 では私達はどれくらい運動すれば良いのでしょうか。
 厚労省が「健康日本21」で公表している方針は「歩数の増加」「運動習慣者の割合の増加」「運動不足のこどもの減少」「歩きたくなるまちづくり」です。
 その目標達成のために策定した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を参考にしてみると、まず身体活動とは安静状態以外の骨格筋の収縮を伴う全ての活動であり、①生活活動(家事・労働・通勤など)②運動(スポーツなど)③座位行動(デスクワークやくつろいでいる状態など)に分かれます。そして安静座位の状態を身体活動の強度の単位として「1メッツ(METs)」と定義すると、座位行動は1.5メッツ以下の強度となり、生活活動は立っているだけで1.8メッツ、散歩は2メッツ、普通歩行は3メッツ、風呂掃除や草むしりは3.5メッツとなります。運動では体操が3.5メッツ、水中歩行は4.5メッツ、軽装での山登りは6.5メッツ、ジョギングは7メッツ、水泳(46m/分)は8.3メッツ、ランニング(188m/分)は11メッツとなっています。

 これらの身体活動によるエネルギー消費量(kcal)はメッツ×時間(h)×体重(Kg)で推定できます。
 科学的根拠に基づいた推奨される活動量は、成人では座位行動(座りっぱなし)の時間をできるだけ短くして、毎日3メッツ以上の活動を60分以上(約8000歩以上に相当)、運動を週に4メッツ×60分以上です。高齢者では毎日6000歩以上で、週に3日以上の体操やダンスなどが推奨されています。

 私の昨年1年間の活動量は平均1日約3500歩と週に2回の水泳(8.3メッツ×0.75時間)ですので、毎日の活動量が全く足りていません。今年はとにかくよく動いて、1日5000歩を達成したいです。皆さんも座りすぎを避けて、自分にあったペースで今よりも少しでも身体を動かしましょう。

いきいき生活通信 2025年 1月号