明石大久保ゆりのき通/神明クリニック
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神戸新聞・折込の、地域の広報にあります「とことん、おおくぼ Okubo.com」の「ドクター西原のいきいき生活通信」で掲載された内容です。ぜひ皆様の生活にお役立てください。

2013年コラム
健康まもりタイ健診について
早いもので、もう師走の頃となりましたね。子供の頃から12月は何となく好きでした。
大人になった今でもそれは同じで、新年を迎えるために、最後まで、あるいは最後だけでもきちんとしようと皆の気持ちが自然とひとつになっていくように感じます。その一体感が、過ぎ行く一年に安心感を覚え、そして新たに迎える一年を頑張ろうという気持ちにさせてくれるのかなと思います。
今年もあとわずか、すっきりとした気持ちで新年を迎えたいものですね。

さて、今回は健康まもりタイ健診について説明します。昨年まではメタボ健診とも呼ばれていましたが、今年度から皆さんの公募により“健康まもりタイ健診”と名称が変更されました。
この健診は動脈硬化に繋がる生活習慣病を予防することが主な目的で、対象者は40歳~74歳までの国保加入者の方です。75歳以上の方(後期高齢者)は後期高齢者健康診査を受けることになっており、高血圧や糖尿病、脂質異常症などで治療を受けていない方が対象です。
5月に対象者の方々には受診券が送られているはずです。そしてこれらの健診はいずれも無料で受けることができます。H22年までの健診は有料だったのですが、受診率が低いためかH23年度から無料になりました。実際に受診率は上がっているように思います。
個人的にはワクチンと健診の無料化には賛成で、最近の医療の傾向として、これまでに以上に予防に重点がおかれるようになってきていることもありますし、そして健診をほとんど受けていなかったばかりに手遅れになることを私自身何度も経験しているからです。

また手遅れになるのは決して癌だけではなく、動脈硬化についても言えることです。糖尿病や高血圧を放置していると動脈はどんどん硬くなり、癌と同じように進行するまで症状はなく、ある日突然、脳梗塞や心筋梗塞を発症したり、あるいは浮腫みや呼吸困難などの心不全や腎不全による症状がみられたりします。

健康まもりタイ健診では腹囲や体重、血圧を測定し、尿検査、血液検査(肝機能、腎機能、尿酸値、血糖、コレステロール、貧血)を行うことで、動脈硬化に繋がる生活習慣病を評価し、保健指導や治療を勧めることで、将来的にその患者さんを減少させることが目標です。
皆さん、健診はしっかり受けて、悔いのないようにしましょう。
いきいき生活通信 2013年 12月号

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2013~2014年度インフルエンザワクチンについて
夏の猛暑がまるで嘘だったかのように、朝晩がすっかり肌寒く感じるようになりましたね。最近は季節の移り変わりを実感する間もなく、一週間があっという間に過ぎてしまいます。もう少しゆっくりと時の流れを感じたいのですが、今の生活ではとても無理なようで、愚息と釣りにでも行ってみようかなと思う今日この頃です。

さて、季節は移り、インフルエンザワクチン接種の時期となりました。毎年、WHO(世界保健機関)が次のシーズンに流行するインフルエンザウイルスを予想し、それに対応できるようなワクチン株を推奨しています。
日本ではその推奨株を参考にして独自の予測を行い、最終的に5~6月頃にワクチンに用いる株を決定しています。そしてその株(インフルエンザA型およびB型)を鶏卵内で培養し、増殖したウイルスを分解して、ウイルスの表面上に発現しているヘマグルチニン(HA)というタンパクを採取して、ホルマリンで不活化後、その他の化学物質と混合調製した液剤がワクチンとなります。
ですからインフルエンザワクチンにはウイルスの持つタンパク(HA)が含まれており、不活化ワクチン(病原性なし)に分類されます。このワクチンを接種すると2週間程でHAに対する抗体が作られ、約5ヶ月間持続します。

今シーズンのワクチンにはA型のHAが2種類とB型のHAが1種類含まれおり、昨シーズンのワクチンとHAのタイプは同じなのですが、全く同じではありません。
例えばA型のHAは16タイプに分かれていますが、同じタイプでもわずかに変異しているのです。ですから毎年作られるワクチンもその変異に合わせて微妙に違っているのです。
ワクチンを毎年接種したり、あるいは何度もインフルエンザに罹患したりするのは抗体の持続期間だけでなく、ウイルスが変異を起すことが主な理由です。

また、ワクチンを接種したのにインフルエンザに罹患することもよく経験します。一般的にはインフルエンザワクチンの効果は総じて70~80%程度、就学前の小児では20~30%程度といわれていますが、インフルエンザの感染や発症を完全に防げなくとも、重症化を予防する効果は十分に証明されており、高齢者や小児、基礎疾患のある患者さんは積極的に接種すべきです。

インフルエンザの流行期は通常12月末~3月頃ですので、12月中旬頃までには皆さん、接種を終えるようにしましょう。
いきいき生活通信 2013年 11月号

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ABC検診Q&A
明石市では今年度から胃癌検診が従来のバリウムによる胃透視検査から血液検査だけで胃癌のリスクを評価するABC検診に変わりました。皆さんもよくご存知のようで、外来でもABC検診について尋ねられることが度々あります。そこで今回はQ&A方式で簡単に説明したいと思います。
Q: ABC検診ではどのように胃癌のリスクを評価しているのか?
A: 胃癌の99%はピロリ菌が関連していると言われています。ピロリ菌に感染するとまず胃粘膜に炎症が起こり(B群)、その後胃粘膜が萎縮し(C群)、更に萎縮が高度になるとピロリ菌も胃には生息できなくなります(D群)。B→C→Dと進むにつれ胃癌のリスクは高くなります。そしてピロリ菌未感染の方(A群)は胃癌のリスクはほとんどありません。
Q: ピロリ菌の除菌療法を受けられた患者さんは?
A: 除菌療法後にピロリ菌が陰性になった方は胃癌のリスクが1/3~1/6に減少しますが、ピロリ菌未感染であるA群と同じ扱いにはなりません。ですから除菌療法後の方は萎縮の程度によって定期的に内視鏡検査などで評価することになります。
Q: A群は以後胃がん検診を受ける必要がないのか?
A: ピロリ菌に感染する可能性は低いのですがゼロではなく、また自然に消えた可能性もありますので、A群のみ5年後以降に再度ABC検診を受けることができます。またピロリ菌感染の有無は血液中のピロリ菌に対する抗体価で判断するのですが、ピロリ菌が少ないと陽性を陰性と判断してしまうことがあるため、現状では5年後の再検査をお勧めします。
Q: B~D群はどうするのですか?
A: 胃癌の有無および萎縮の程度を評価するため、内視鏡検査を行います。そして内視鏡所見も参考にして、例えばB群なら3年毎、C群なら2年毎、D群なら1年毎に内視鏡検査を行うというように以後の予定を立てます。
Q: 除菌療法について?
A: 本年2月21日からピロリ菌感染胃炎に対する除菌療法が保険適応になったため、B・C群は保険で除菌療法を行うことができますが、年齢や病状を考慮して行うべきで、今後の胃癌の発生を予防するという観点からは若い世代に積極的に行うべきだと思われます。治療は一週間3種類の薬を内服するだけで、除菌率は約70~80%程度です。除菌不成功の場合は再度別メニューで二次除菌療法(除菌率80%前後)を行うことができます。
Q: 除菌判定は?
A: ピロリ菌感染を調べる方法はいくつかあるのですが、最も推奨されているのは尿素呼気試験で、尿素を内服して15分後に息を吐くだけです。除菌療法終了後4週以降であれば判定可能です。
ABC検診はまだ始まったばかりですが、20~30年後には胃癌の予後の改善や発生率の減少に貢献すると期待されています。皆さん是非、一度はABC検診を受けてみて下さい。
いきいき生活通信 2013年 10月号

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膵臓がんについて
今年の夏は、最高気温が40℃を超えたり、最低気温が30℃近くあったりと猛烈な暑さを記録しましたね。日中、冷房の効いたところで仕事をしている私としては、あまり実感することはなかったのですが、それでもときどき昼に外にでると、その瞬間に全く別の世界に足を踏み入れたかのような、熱い空気と痛みさえ覚えるような陽の光を感じました。「冷房がなければとても生活できないな」と思うと同時に、「地球はこれで本当に良いのだろか」と少し不安になりました。やはり温暖化やヒートアイランド現象の影響がでてきているのでしょうね。私たちにできることは“エコ”でしょうか。
さて今回は膵臓がんについてお話してみます。

膵臓がんは皆さんご存知の通り、早期発見が難しい上に進行が早く、極めて予後が悪いがんで、“がんの王様”と呼ばれています。腹痛や体重減少など症状がでてからでは遅く、多くは進行がんの状態で見つかります。
ですから手術可能なケースは20%程度で、しかも早い段階でリンパ節に転移しやすいため、手術例の70%が再発すると言われており、5年生存率は5%程度で臓器別のがんでは最下位です。私もこれまでにずっと診てきた患者さんが膵臓がんになったりしたことがありますが、残念ながら治癒が期待できるような早期に発見できたことはありません。
また膵臓がん患者さんの4~8%に家族歴があり、また膵臓がん患者さんの25%に糖尿病がみられていますが、これらの情報だけでは十分な予後の改善には繋がらないでしょう。

それでは偶然を期待する以外に方法はないのかというと、必ずしもそうとは限らないかもしれません。少なくとも近い将来には良い方法が見つかるかもしれないのです。

世界には膵臓がんを早期に発見する方法を考えている研究者や臨床家がたくさんいます。
先日、国立がん研究センター等が血液検査で膵臓がんを早期に発見できる方法を開発したというニュースがありました。膵臓がんの患者さんではある特定のたんぱく質の量が健康な人の7~8割に減少しているらしく、そのたんぱく質の量を測定すれば早期の膵臓がんでも90%以上の精度で発見できるという内容でした。
まだ特異度などの問題はあるようですが、いずれこの検査が臨床の場に登場してくることを期待したいと思います。
いきいき生活通信 2013年 9月号

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新型出生前診断について
日本の刑法上、人工妊娠中絶は堕胎と呼ばれ、犯罪行為として規定されています。
一方、人工妊娠中絶の件数は年々減少傾向にあるものの、全妊娠の1/5程度(年間約20万件)に相当します。
刑法で犯罪として規定されていながら、公然と中絶が行われているのは、母体保護法という法律によって「妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのある場合」は指定医師が中絶を行うことができると定められているからです。
実際にこの法律を拡大解釈することで人工妊娠中絶の件数は戦後飛躍的に増加してきた経緯があるようです。したがって現在は、母体側の理由により中絶は認められている状況です。では胎児側の理由で中絶することはどうでしょうか。

実は1996年まで現在の母体保護法は優生保護法と呼ばれており、その法律では「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」すなわち重度の病気や障害をもった子どもが生まれてこないようにするために、不妊手術や中絶することは認められていたのです。
しかし障害者への差別に繋がるなどの理由で、母体保護法と名称を変えてからはその文面は削除されました。ですから建前上は胎児側を理由に中絶は認められていないことになります。
この中絶に関する問題は、「生命とは何であるのか」といった倫理的問題でもあり、今後はこれまで以上に議論を重ねていかねばなりません。なぜなら、医学の進歩により、胎児に染色体や遺伝子に異常があるかどうかを非常に簡便にかつ高精度に検査できるようになってきたからです。

この4月から始まった新型出生前診断では、妊娠10週目以降の妊婦さんから血液検査を行うだけで、胎児がダウン症や他の特有の染色体異常があるかどうかを高精度に診断できると言われています。
ただし確定診断にはこれまでどおり羊水検査が必要であること、そしてより重要なことは検査の信頼度(感度と特異度)が99%以上ではありますが100%ではないということです。ですから検査ができる施設は検査についての説明および結果に対してのカウンセリングが十分に行える施設に限られています。
今のところ35歳以上の妊婦さんが対象であり、費用も20万ほどかかりますが、検査を受けられる妊婦さんは予想以上に多く、この流れは今後加速していくと思われます。そして検査で診断できる異常や疾患も増えていくでしょう。
まさにパーソナルゲノム(自分の遺伝情報を知りうる)時代の到来を予感します。ちょっと心配です。殺伐とした世の中にならないためにも、人も社会も器は大きくしたいものですね。
いきいき生活通信 2013年 8月号

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予防的乳房切除について
先日、ハリウッド女優であるアンジェリーナ・ジョリーさんが、将来的に乳がんに罹患する可能性が高いということで、両乳房を切除されたことが話題になりました。ジョリーさんの母親は乳がんおよび卵巣がんを発症した後、56歳で亡くなっており、そして母方の祖母も40代で卵巣がんにより亡くなっています。

実は乳がんや卵巣がんの5~10%はジョリーさんの家系のように遺伝的な要因が強く関与して発症することがわかっており、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群と呼ばれています。この疾患の特徴は乳がんの発症が比較的若年であり、両側性にみられることが多く、また卵巣がんを併発することがあるということです。
そして患者さんは生殖に関係する遺伝子(BRCA遺伝子)に変異が起こっており、その変異した遺伝子は親から子へ50%の確率で受け継がれます。

ジョリーさんが自身の遺伝子を調べてみたところ、その遺伝子に変異が認められたのです。すなわち母親から変異した遺伝子を受け継いでいたと考えられるわけです。ですからジョリーさんが、いずれ自分も母親のように乳がんや卵巣がんを発症すると思うのは当然かもしれません。
実際にジョリーさんの担当医師は、ジョリーさんが乳がんおよび卵巣がんを発症するリスクはそれぞれ87%と50%であると推定していました。これはかなり高い確率だと思います。ジョリーさんはこの度の乳房切除により、乳がんを発症する確率が5%まで低下し、さらに今後、予防的に卵巣も切除するであろうと言われています。

さて、皆さんはこの米国では珍しくない予防的乳房切除についてどのように思われますか。
私はこのニュースを耳にしたとき、家族性大腸腺腫症という病気のことを思い出しました。この病気も遺伝性の疾患で、60歳までにほぼ100%大腸がんを発症します。そのため大腸がんの発症がみられる20歳頃までに予防的に大腸全摘出術を行うのが一般的な治療となっています。ジョリーさんの場合は100%ではありませんが、87%の確率が正しいのであれば私は十分に理解できる選択であったと思います。生命に関わる遺伝的なリスクがあるからといって、健常な臓器を切除することには確かに違和感がありますが、10年後には当たり前のことかもしれませんね。
以前にお話した“ダヴィンチ手術”のように医学の進歩に伴って医療も転換期を迎えているように感じています。
いきいき生活通信 2013年 7月号

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風疹の流行について
昨年一年間の風疹患者さんの数は約3000人でしたが、今年は5月末までで既に8000人近くに上るそうです。そして感染者の80%以上が20~40代の男性で、主に職場などを介して拡がっていると思われます。

その年代の男性が多い理由は
  1. S37年~S54年生まれ(現34歳~51歳)の男性は大多数が風疹ワクチンを接種していないこと。
  2. S54年生まれ以降(現34歳以下)は女子のみの集団接種から男女個別接種に変わったため、接種していない方も少なくないこと。
  3. H2年生まれ(現23歳)までは風疹ワクチンの接種が一回だったこと
などが挙げられます。
すなわち23歳以上の男性は風疹に対する免疫がないか、あるいは不十分なことが多いということです。
一方、高齢者の方は、皆さんワクチンは接種していませんが、幼少期に風疹に罹患することが多かったと思われ、免疫のある方は意外と多いようです。

風疹自体は比較的軽症な病気で、私も中学3年生のときに罹りましたが、顔や体に細かな発赤疹がみられ、後頚部のリンパ節が腫れたことを除けば、普通の風邪と変わりなかったです。
しかし、妊娠初期に妊婦さんが感染すると胎児に白内障や難聴、心奇形などの障害(先天性風疹症候群)が起こることがあり、今風疹の流行が問題となっているのは妊婦さんへの感染であり、実際に今年は例年に比べて、先天性風疹症候群の報告が増えています。
そして厄介なことに、感染力は症状の始まる一週間前からありますので、身近な方で風疹に対する免疫のない方は感染する可能性が高いと言えるでしょう。

ですから予防は手洗いやうがいだけでは十分でなく、ワクチンを接種して免疫を獲得することが何よりも重要なのです。ただワクチンを接種しても感染を防ぐのに十分な免疫ができない場合や、いったん免疫を獲得しても次第に低下していく場合も少なからずあります。このような状況を改善するために現在は風疹ワクチンを2回接種することになっているのです。

風疹患者さんはまだまだ増える傾向にあります。現在の状況を考えると、妊婦さんを風疹から守るためには、妊婦さんの周囲の人たちの協力だけでは不十分で、国や自治体、あるいは企業などが何らかの対策を講じる必要がありそうです。
いきいき生活通信 2013年 6月号

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鳥インフルエンザについて
最近、中国での鳥インフルエンザのニュースがテレビや新聞で度々報道されています。感染者はまだ多くはありませんが、それでも少しずつ増えており、また毒性も強く、これまでに感染者の約20%の方が亡くなっています。そして今問題となっているウイルスはこれまでの鳥インフルエンザウイルス(H5N1)とは少し違うタイプ(H7N9)なのですが、いずれも強毒性です。
もし日本や世界でこれらの鳥インフルエンザが流行したらどうなるでしょう。想像するのも恐ろしいですね。

では、この鳥インフルエンザは本当に流行するのでしょうか。
そもそも鳥インフルエンザとはA型インフルエンザウイルスがアヒルなどの水鳥に感染している状態で、その場合は特に病原性もないのですが、このウイルスがニワトリなどに感染すると非常に強い病原性を示すことがあり、感染したニワトリはインフルエンザを発症し、ニワトリ間でインフルエンザが瞬く間に拡がることになります。日本でもこれまでに京都や宮崎などいくつかの地域で鳥インフルエンザが発生し、多くのニワトリが処分されましたね。しかし日本ではこれらのニワトリからヒトへの感染はみられませんでした。
すなわちニワトリに感染して病原性を発揮する鳥インフルエンザウイルスも、まだヒトへの感染力は非常に低いと考えられています。

しかし中国では2005年にヒトへの感染が初めて確認され、その後も散発的に報告があり、今年の3月にはこれまでと違うタイプ(H7N9)の鳥インフルエンザウイルスによるヒトへの感染が相次いで報告されています。
何らかの要因によりヒトへの感染力を得た可能性があり、警戒が必要です。
現時点(4月末)ではこのウイルスによるヒトからヒトへの感染の可能性は低く、感染源としてはニワトリから直接感染したか、あるいはブタへの感染などを介して感染した可能性が示唆されています。

しかし、今後ヒトからヒトへの十分な感染力を獲得するかもしれません。インフルエンザウイルスはその自身の特性上、増殖する際に変異を起すことが度々みられ、変異したウイルスが新たな形質(能力)を獲得し、大流行を引き起こしてきたという歴史があります。したがって今問題となっている鳥インフルエンザがこれまでと同様に大流行する可能性は決して少なくはないと考えざるを得ないでしょう。
ヒトはこれからもずっとウイルスと闘い続けていかねばならないのでしょうね。
いきいき生活通信 2013年 5月号

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ダヴィンチ手術について
レオナルド・ダ・ヴィンチは言わずと知れた著名な画家で、代表作には『モナ・リザ』や『最後の晩餐』などがありますね。しかしダヴィンチは芸術だけではなく科学や数学など、さまざまな分野に業績を残した万能な博学者だったそうです。
そして現在、その万能な天才の名を冠した医療用ロボット“ダヴィンチ”が手術の分野において革命をもたらしつつあります。

最近、そのダヴィンチ手術についての講演を聴く機会が何度かありましたので、今回はそのことについてお話してみます。ダヴィンチ手術とは医療用ロボット“ダヴィンチ”を使ったロボット手術のことですが、ロボットが勝手に手術するわけではなく、術者がロボット(ダヴィンチ)を遠隔操作して、手術をするという感じです。術者は患者さんとは別のところ(コンソールボックス)でイスに座り、目の前には手術部位を拡大した立体画面があり、まるでテレビゲームをするかのように両手を使って手術をします。そして患者さんの体に開けられた穴からロボットのアームが4本挿入されており、患者さんの体の奥深くに入り込み、その先に取り付けられたメスや鉗子で緻密に病巣を切ったり、縫ったりするのです。

また1本のアームには高繊細カメラが取り付けられ、肉眼では見えにくい部位でも見えやすいように拡大して手術ができます。現在、前立腺摘出術の多くがロボット手術によってなされるようになっており、他にも冠動脈バイパス術や婦人科疾患の手術にもロボット手術が行われています。
以前は「偉大な外科医は大きく切る」という黄金律があったのですが、最近はもっぱら低侵襲な内視鏡手術が中心になってきており、ロボット手術はその最先端手術と言えるでしょう。

患者さんにとっては傷口が小さく、出血量や術後の疼痛も少なく、機能が温存され、回復が早いといった利点が多々あります。したがってこれからますます拡がっていくことは間違いないと思われます。
そして外科医はロボット手術を習得し、またロボット手術ができる一部の大きな病院に患者さんが集まるようになるでしょう。まだ中年の私でもすごい時代が来たなと思わされます。今の流れについていくのは本当に大変で、頭も体も鍛えないといけないなと思う今日この頃です。
いきいき生活通信 2013年 4月号

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痛風について
以前、外来で痛風発作を起こした患者さんを診察していたときのことですが、「私も時々足の親指の付け根あたりがチクチクすることがあるんですよ。」と患者さんに話したところ、その患者さんはすごく嬉しそうな顔で私に「先生、もうじき来ますよ。ものすごく痛いですから。」と言われたことがあります。
幸運にも、未だに痛風発作の経験はありませんが、いずれ来るのかなと少し覚悟はしています。

さて、痛風についてですが、痛風とは血液中の尿酸値が高くなることで起こる関節炎のことで、足の親指の付け根の関節に起こることが多く、足首や手首の関節、膝関節などにも起こります。そして患部は赤く腫れ、熱をもち、歩くこともままなりません。風が当たるだけでも痛く、風のように痛みが強くなったり和らいだりすることから、痛風という病名になったそうです。
また患者さんの大半が働き盛りの男性で、女性は女性ホルモンの影響で元々尿酸値が低いため、痛風に罹りにくいのです。では尿酸とはいったい何なのでしょうか。

尿酸とはプリン体が分解されてできる老廃物であり、体の中で作られ、主に尿中へ排泄されます。そしてプリン体とは私たちの細胞の中(核酸)に含まれている物質で、新陳代謝により古くなった細胞が分解されると産生されます。すなわち私たちが生命活動を営む限り、毎日体の中でプリン体から尿酸が作られ、尿へと排泄されるのです。またプリン体は肉や魚、ビールなどにも多く含まれており、これらを摂取すると当然体の中で尿酸が作られることになります。
もし尿酸の産生が過剰になったり、排泄が低下したりすると、血液中の尿酸値が高くなり、体温が低い足などで結晶化し、白血球がこの結晶を攻撃することで関節炎が起こるのです。

治療は、発作時には痛み止めを、発作を予感したときにはコルヒチンという薬を、また予防には尿酸の産生を抑えたり、尿への排泄を促進する薬があります。
しかし薬を服用していても、また尿酸値が正常でも発作が起こる場合がありますので、以下の事に注意しましょう。

(1) プリン体は肉や魚などに多く含まれていますので、これらの過剰な摂取を控えましょう。
(2) アルコールの分解の際に尿酸が作られること、またビールにはプリン体が特に多く含まれていますので、適度な飲酒量にしましょう。
(3)過度のストレス下ではエネルギーの消費も多く、その際尿酸が作られますので、ストレスを貯めないようにしましょう。

言うは易く行なうは難しなのですが、私の場合、とりあえず(3)から始めようかなと思っています。
いきいき生活通信 2013年 3月号

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パーキンソン病について
今回パーキンソン病についてお話しようと思った時に、ある映画が私の記憶に蘇ってきました。
私の記憶に残ることとなったその映画のタイトルは「レナードの朝」という作品で、私が大学生だった頃に見た映画です。映画館に女の子と二人でわくわくしながら見に行ったわけではなく、下宿でひとり寂しく見た映画でした。

脳炎の患者さん(レナード)をロバート・デ・ニーロが演じており、なかなかの名演技だったと思います。レナードは30年間ほとんど寝たままの状態だったのですが、熱心な医師によりパーキンソン病の新薬を投与され、奇跡的に回復します。しかしその効果は一時的であったため、次第に元の状態に戻っていくという話で、どちらかというと悲劇的で、それがかえって私には印象深いものとなりました。

さて、その話の中で、パーキンソン病の治療薬(L-ドーパ)が使われたのですが、実際にこの薬は1960年代からパーキンソン病に使用され、現在もその治療の中心的な役割を果たしています。L-ドーパは体内でドーパミンという物質に変化して、脳内で効果を発揮します。すなわちパーキンソン病は脳内のドーパミン不足によって起こる疾患であり、ドーパミンを分泌する細胞が変性することが主な原因です。

そして脳内のドーパミンが不足すると、
(1)安静時に指先がふるえる。
(2)関節の動きが硬くなる。
(3)表情に乏しく、前傾姿勢で、足がすくんだり、歩行が小刻みになる。
(4)バランスを崩すと倒れやすいなどの症状がみられます。

これらがパーキンソン病の主要症状であり、約200年前にイギリスのパーキンソンさんが上記の症状を特徴とする症例を報告したのが疾患名の由来となっています。
日本では700~1000人に一人の有病率で、高齢者に多く、そのほとんどは非遺伝性であり、ドーパミン分泌細胞が変性する原因は今もまだ解っていません。治療は先に述べたような薬物療法やリハビリ、外科手術などがありますが、いずれも根本的な治療ではなく、症状を軽減するための対症療法です。
根本的な治療として期待されているのは、山中先生が作製したiPS細胞です。iPS細胞をドーパミン分泌細胞に分化させ、脳内に移植する治療ですが、すでに動物実験では良好な結果が報告されています。パーキンソン病は難病疾患に指定されていますが、いつの日か映画の一場面でみられたような劇的な効果をもたらす治療法が確立されるかもしれないと私は思っています。
いきいき生活通信 2013年 2月号

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心房細動と脳梗塞について
皆さん、明けましておめでとうございます。新たな一年が始まりましたね。今年はこれまでの怠け癖を反省して、もう少し真面目に医学を勉強したいと思っておりますので、どうか宜しくお願い致します。
さて今回は不整脈によって起こる脳梗塞についてお話してみます。

脳梗塞は主に
(1)動脈硬化などによって脳の血管が狭くなり、その部位で血管が詰まってしまう脳血栓(のうけっせん)と
(2)心臓などでできた血の塊が脳の血管に流れて詰まる脳塞栓(のうそくせん)に分けられます。
元プロ野球選手の長嶋茂雄さんが脳梗塞に倒れたのは、(2)の脳塞栓が原因だったと言われています。
そしてこの脳塞栓のほとんどは心房細動という不整脈が関係しており、また心房細動が原因で脳梗塞を発症するケースは決して珍しくはありません。では心房細動とはどのような不整脈かと言いますとは、話を簡単にするために、まず心臓を上と下の二つに分けてみます。正常な心拍動では1対1の割合で、上側が拍動(興奮)し、続いて下側が拍動(興奮)します。

そしてこの拍動は通常毎分50~100回みられます。ところが心房細動では上側が毎分350~600回興奮し、下側には上側の興奮が不規則にしか伝わらないので、全く規則性のない拍動を示すようになります。この状態では心臓から拍出される血液量も低下することがあるため、ふらつきや呼吸困難などの症状が起こりやすくなります。そして何よりも重要なことは上側の心臓での無秩序で不規則な興奮のため、血液がよどみやすく、血栓が形成されやすいことです。その血栓はやがて下側の心臓へと流れ、そして下側の心臓の拍動によって脳の血管へと運ばれ、脳塞栓を発症することになるのです。

この心房細動は基礎疾患(弁膜症や高血圧、糖尿病、加齢など)があって起こる場合とそうでない場合があるのですが、脳塞栓が起こりやすいのは、基礎疾患があって起こる心房細動の場合です。ですから脳塞栓を起すリスクのある心房細動は積極的に治療する必要があります。また心房細動によって引き起こされる脳梗塞は梗塞範囲も広く、重篤な場合が多くみられますので、不整脈を自覚した場合は、とりあえず医療機関を受診しましょう。
いきいき生活通信 2013年 1月号

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